『マイクロ法人』設立後の「法人口座」をスムーズに開設できるようにするには?

法人口座開設をスムーズにする方法 起業・法人設立
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序章: 「マイクロ法人」設立直後の「会社名義の銀行口座」開設が難しくなっています

会社員をやめて独立し「マイクロ法人」を設立しようと考えている方、現在フリーランスまたは個人事業主として仕事をしていたが「法人化」しようと考えている方が近年増えています。

転職や起業など自分に合った自由な働き方を求める動き、コロナ禍から広まった在宅ワーク、会社設立がしやすくなったことなども相まって、法人の税制上の優遇制度が理解されはじめたことから、「マイクロ法人」を設立する人が増えているのです。

「マイクロ法人」の設立登記までは簡単にできますが、大変なのはそこからです。

最初につまずくのが、『会社名義の銀行口座』(法人口座)がなかなか銀行に承認されずに開設が出来ない、といった問題です。

いざ口座開設しようと銀行に申し込んだら審査が通らずに開設できない、ということを防ぎ、スムーズに開設するためには、銀行に行く前に「事前準備」が必要です。

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『マイクロ法人』設立後にまっさきにするべき「法人口座」の開設

「法人設立」おめでとうございます!

おそらく、「株式会社」または「合同会社」としての法人設立の登記手続きが完了したところでしょう。

あなたは株式会社の代表取締役、または合同会社の代表社員として会社運営の責任者になりました。

ただ、設立の登記が済んだだけではまだまだ法人としての取引の帳簿付けができません。

新規に取引を考えている相手側の法人も、法人口座がなければ取引を進めることを躊躇してしまいます。

あなたのお手元に「法人番号指定通知書」が届いたら、あなたの会社の「法人番号」(13桁)が決定し、会社が公に認められたところです。

さっそく法人として「会社名義の銀行口座」を開設しましょう。

国税庁の法人番号公表サイト

通知書に記載された番号を上記の国税庁の法人番号公表サイトで法人番号で検索すると、あなたの会社の情報が出てきます。

これで正式に「法人」として認知されたことになります。

この番号がないと、法人口座を開設することができませんので、通知書が届くのを待ち、届いたらすぐに法人口座開設の手続きに行きましょう。

『マイクロ法人』が「法人口座」開設する前に用意しておくべきもの 6つ

法人の「設立登記」の申請を出してから「法人番号指定通知書」が届くまでには、およそ10日から2週間程度要します。

  1. 「法人番号指定通知書」が届く前に「法人銀行口座」開設に必要なもので用意できるもの
    1. 会社印(会社実印・会社銀行印・会社角印の3点セット)
    2. 会社の運営実態がわかる資料
    3. 代表者の身分証明証
  2. 法人の設立登記が無事に済み「法人番号指定通知書」が届いた以降に準備できるもの
    1. 法人番号指定通知書のコピー
    2. 定款コピー
    3. 履歴事項全部証明書 1通

では、それぞれをいつどのように用意するのか説明していきます。

1-1 会社印3点セット(会社実印・会社銀行印・会社角印)

個人でも銀行口座を開設するときに、その銀行への届出の印鑑が必要ですが、会社も「法人」という人と同じ扱いですので、会社としての印鑑が必要となります。

「会社名義の銀行口座」の開設には『会社銀行印』があれば、ほかの印鑑は不要です。

ですが会社設立には、設立登記を申請する際に「会社実印」が、法人の印鑑登録のために必要ですので、3点セットとして準備しておいたはずです。

「会社角印」は四角い形の印で、公的書類や契約書以外の、通常の取引などでの通達書類やお見積書などに、形式的ではありますが、取引間の各書類に押印する場合が多いので、必ず用意しておきます。

なのでほとんどの方が、会社実印・会社銀行印・会社角印の3つを「会社印3点セット」として購入されていると思います。

インターネットでも、街の印鑑屋さんでも、社名さえ決まっていれば簡単に作れ、1週間もかからずに出来上がります。

法人の設立登記をするときには「会社実印」が必要で、そのときに会社名が確定しているわけですから、3点セットの「会社銀行印」はこのときに一緒に作っておけば問題ありません。

「〇〇株式会社之銀行印」「合同会社△△之銀行印」というような印影になります。

1-2 会社の運営実態がわかる資料

実は、マイクロ法人を設立した直後の「会社名義の銀行口座開設」で、会社の運営実態がわかる資料というのが、いちばん用意するのが難しいのです。

なぜなら、独立して間がなく「マイクロ法人」という小規模での設立だと、会社の運営実態と言われても、実店舗や工場・事務所など持っていない場合がほとんどだからです。

しかもそこで働くのは、自分ただ一人という「ひとり起業」の場合もあります。

なので、銀行の担当者が審査のために会社の場所を訪問すると言われても、運営実態を見せるのが難しいわけです。

筆者も2021年にマイクロ法人を設立し、直後に会社名義の銀行口座を開設しましたが、どのようなものが運営実態を見せるために提出して審査が通ったか、を実例報告します。

・ネットショップのHPを印刷したもの

・小規模事業者持続化補助金申請などの申請・採用通知書のコピー

・会社案内のチラシ

・展示会や小さな出店などのときの画像

・ネットショップで販売している商品画像

・会社として発信しているブログやSNS

実店舗や事務所があり、そこに自分を含めた従業員がいる、などという人はそこから新たに「マイクロ法人」を設立しません。

「マイクロ法人」とは「法人」ではあるが、1人または家族のみなどの少数で、自宅やレンタルオフィスなどで、おもにインターネットを利用したビジネスで起業する人の法人化を指します。

ネットショップでハンドメイド作品を販売する、ブログやYouTubeなどで稼いでいる人、コンサル業、ネットでのオンラインサロン経営なども含まれます。

そのため自宅やレンタルのワーキングスペースが作業場所という人も多く、銀行(審査担当者)側から見ると、実態があるのかないのか見えにくいのです。

彼らは銀行員ですから、わかりづらく何をしているのか見えないようなマイクロ法人を審査OKとしてしまった後にもしなにか問題があったら困るのです。

そのため、運営実態がわかると思われる画像や書類があれば、いくつでもそれらを証拠書類として受け取ります。

なので筆者も、上記のように、ネットショップページを印刷したものや、商品画像などを書類としていくつもお渡ししました。

自分で営業用に作ったチラシも、申請書類も、その時点であるものは、コピーを取ったり印刷したりして開設したい信用金庫の支店へ持っていきました。

担当者は、その熱意や誠意も見ていたように思います。

ネットでの法人の口座開設をしている銀行もあり、私は、ネット系銀行へ法人口座申請も、地元の信用金庫への法人口座申請も同時期に行いましたが、どちらも上記のような書類・画像をいくつも準備しておいたので、まだ会社としての売上がほとんどなかったにもかかわらずどちらも審査が通りました。

法人化する前から個人事業主として、または副業としてなんらかのビジネスに着手していると思いますので、それらの実績を「運営実態がわかる資料」として利用できるかどうか考え、事前に準備しておいてください。

そのためにも、事業のホームページや会社としてのSNSアカウントはなるべく早く確保しておくようにしましょう。

また、運営実態というよりもっと根本的なことになりますが、一つ重要なことがあります。

「法人」設立のための資本金は、現法では1円からでも設立できます。

しかし実際の経営として、1円だの1万円だので、誰が信用するでしょうか?

銀行が「法人口座開設」の審査をする際に、資本金がたったの数万円では、審査は通るはずもありません。

いくら以上なければいけない、という明文化された決まりはないですが、やはり常識的に考えて、事業にもよりますが数十万円以上の資本金は必須なのだと考えます。

1-3 代表者の身分証明証

会社の経営者(代表者)となる人の身分証明がきちんとできないと会社設立も法人口座の開設もできません。

あたりまえですが、どこに住んでいて、年齢・連絡先がしっかりわかり、社保・納税などの各手続きがきちんとできている人でなければ社会人として認めてもらえません。

会社員であれば、それらは会社がやってくれますからあまり気にすることもなかったかもしれませんが、独立するということは、一切を自分できちんとやっておかないといけないということです。

法人口座の開設のため、というより、これから独立してマイクロ法人設立をしようと思うのならば、その時点でしっかりと手続きをしておく必要があります。

・住民票

・運転免許証

・マイナンバーカード

これらの住所が、たとえば実家のままになっているとか、住民票は異動したが免許証はまだ手続きができておらずそのまま、などという方はいませんか?

独立しようと決めたなら、それが個人事業主であれマイクロ法人設立であれ、なんであれ、自分の身分を証明できるものを明確にしておきましょう。

とくに提出物として顔写真付きのものの提示は必ず求められますので、マイナンバーカードと運転免許証は正しいものにしておくことが必要です。

引っ越しを繰り返した人、引っ越ししてまだ間がないという人は、今一度確認し、マイナンバーカードの変更手続きがわからなければ、自分の住む管轄の市役所などに手続きを確認してください。

2-1 法人番号指定通知書のコピー

これは冒頭で説明したものです。

1部コピーを取っておき、すぐに渡せるようにしておきましょう。

PDF化しておき、ネット系銀行の提出にも対応できるようにしておきます。

2-2 定款のコピー

法人として「設立登記」申請が無事に済むと、公証人の認証証明書とともに「公証」印が押された「定款」が出来上がってきます。

その「定款」の全ページのコピーを取り、「定款」1部のコピーとしてまとめておき、持参します。

ネット系銀行で法人口座開設の場合は、定款コピーの提出は不要の場合も多いので、どの銀行がどのような資料を追加提出資料として求めてくるかはわかりません。

2-3 履歴事項全部証明書

法人として「設立登記」申請が無事に済むと、会社の「履歴事項全部証明書」を法務局から取得することが可能になります。

以前は『登記簿謄本』と言われていて、いまでもそのように言う人もいますが、現在は「履歴事項全部証明書」が登記簿謄本に該当する書類になります。

会社設立後は、色々な手続きで「履歴事項全部証明書」の提出を求められることがありますし、取引をする上で必要となる他社の与信調査の為に「履歴事項全部証明書」(登記簿謄本)を提出するよう言われることもあります。

「登記簿謄本=履歴事項全部証明書」との認識でOKです。

法人口座開設時の提出必要資料としてではなく、その後の手続きにもなにかと必要です。

多くの場合3か月以内に取得したもの、という条件がありますので、法人設立登記が済んだ時点で何通かを取得しておけば、3か月以内に各種手続きをする際に使えます。

会社・法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)はどこの法務局でも取得可能です。
都道府県にいくつか法務局がありますので、下記の一覧から各都道府県ごとにさらに『館内法務局一覧』で最寄りの法務局を探してください。

各都道府県の法務局所在地一覧

法務局は平日の8:30-17:15のみ開いています。(土日祝日及び年末年始はお休み)

インターネットからも取得できますが、当日すぐに必要な場合は、実際に法務局へ行って取得するのが早いです。

ちなみに私の場合は、「法人の設立登記」の業務をしてもらった司法書士が、その手続きの一環として「履歴事項全部証明書」を3通取得して、定款などと一緒にいただきましたので、実際に法務局へ行くことはありませんでした。

「法人口座」開設にはどの銀行を選ぶのが良いのか

銀行に口座を開設するとき、みなさんは何を根拠にその銀行を選ぶでしょうか?

一番多いのは、自分の住んでいる近くの支店でしょう。

そして銀行は、たとえばあなたが会社員であれば、勤務先の会社が指定した銀行(なかには支店まで指定する企業もあります)で開設したという人も多いと思います。

都市部に住む方の場合はテレビCMでも街中でも良く目にするメガバンクのどれか、であったり、地方に住む方の場合は、その住んでいる県や市にある地元の銀行や信用金庫の口座が多いと思います。

実家が農家の場合、JAバンクを利用しているという人もいるでしょう。

あなたやあなたの家族・身内が常々利用している地元の信用金庫や信用組合に個人の口座がある場合は、長年の付き合いや、あなた個人としての口座取引実績(給与振込や光熱費の引落しなど)があるので、信用が貯まっていると言えます。

そのような人は、そのふだんから利用してきた信用金庫で法人口座を開設するのがいちばんです。

そもそも「信用金庫」とは、地元の中小企業の支援を目的として作られた金融機関ですし、そのうえで個人(家族)としても口座を持って長い付き合いがあるのであれば、審査も通りやすいからです。

では都市部でメガバンクしか個人の口座を持っていない人や、引っ越しが多くて長い付き合いの銀行なんてない、という人はどうしたら良いでしょうか?

マイクロ法人でなくても中小企業が設立してすぐにメガバンクで会社の口座を持つことはまず相手にされませんし、なんのメリットもありません。

メガバンクは大企業相手の銀行です。

ですので、個人が「マイクロ法人」を設立して「法人口座」を開設したいと言ってもメガバンクでは無理なので、設立する自分の会社の近くの信用金庫をさがしてみましょう。

税理士さんや設立登記をお願いした司法書士さんなどから近くの信用金庫などを紹介していただくというのも良いです。

筆者も、依頼した税理士さんに紹介してもらい、近くの信用金庫(最寄りの支店)に行きました。

私の場合ですが、その信用金庫の支店の担当者は、その日の夕方には審査のために、我が自宅兼事務所としての登記場所に見に来てくれ、すぐに審査OKとなりました。

地元の信用金庫の場合、登記場所を確認のために訪問することが一般的です。

中に入ってあれこれと調べたりはしませんので、実際にその場所で運営・作業している(自宅の場合でも問題なし)のであれば安心していて大丈夫です。

ネット銀行で「法人口座」を開設する場合

現在はインターネットで振込を行うのが一般化し、インターネットだけの銀行で実店舗を持たないところも増えています。

ネット系銀行の場合の審査は、申し込み段階ではインターネット上で完結することになっており、それだけで審査が通らない場合に追加審査資料として必要な書類を郵送する、という2段階方式での審査が多いです。

ネット系銀行なら法人口座開設の審査が甘い、と思われがちですが、結局のところ2次審査として書類郵送が必要となるので、どちらが楽というものではないと感じました。

ネット銀行間の競争も激しいため、この銀行が通りやすい、と思われていても1年もたつと別のネット銀行のほうが通りやすくなっていたということも多いです。

2021年9月現在、私自身が実際に法人口座を開設しましたので個人的感想となりますが、GMOあおぞらネット銀行はおすすめです。

GMOあおぞらネット銀行

いずれにしても、いくら設立して間がないとはいえ、なんらかの運営実績がわかる証拠を出さなければ認められません。

まずは個人としてであっても副業としてであっても、なんらかの営業活動や売買実績、行動を示すことができるものを事前に用意しておかなければならないです。

最後に・・・「法人口座」が開設できたら

法人名義の銀行口座が開設できると、銀行通帳を作ってもらえます。

その名義人の名前に、自分の会社名が印字されているのを見たときの嬉しさはひとしおです。

「マイクロ法人」とはいえ、法人設立には、準備期間も金銭的負担も、そして決意と不安と、いろいろな思いの中突き進んできて、やっとここまでたどりついたのですから。

ここまでの達成感と、ここから始まるのだというスタート地点に立って最初の1歩を踏み出す気持ちの両方で感慨深いものだと思います。

これからがいよいよ本当の船出となります。

航海のなかで、順風満帆ばかりではないことは百も承知と思います。

私もそうです。

このブログの最後に、有名な「薩摩の教え」の言葉をお送りします。

島津義弘公の教えと言われ、島津藩に伝わるものです。

薩摩の教え「男の順序」

1、何かに挑戦し、成功した者

2、何かに挑戦し、失敗した者

3、自ら挑戦しなかったが、挑戦した人の手伝いをした者

4、何もしなかった者

5、何もせず、批判だけしている者

6、何もせずに批判するだけではなく、足を引っ張る者

※1と2は尊敬され、3,4は普通、5,6は軽蔑される者とのこと。

挑戦する者は尊いと思います。

挑戦していきましょう。

 

よま

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