「失業保険給付」自己都合退職でも、失業保険給付条件の「会社都合」扱いにできる方法

ビジネス・転職・副業

2020年、感染症の問題などで厳しい経済状況の日本では、希望退職や整理解雇、会社の倒産で突然失業してしまうことは、もはや他人事ではありません。

自分がリストラされるか心配とか、自分の望まない配置転換を言われそうだ、自宅待機を命じられているが先がわからない、厳しい労働環境になってしまったので会社をやめたい、などと不安な気持ちを抱えている人は多いと思います。

このブログでは失業の仕方と失業の理由で、失業保険の給付条件が大きく異なる点について紹介します。

自分がいざその時になる前に、知識として知っておくこと、できることを今のうちに準備しておくことで、もしもの時に少しでも有利に失業保険給付金を受給できます。

失業前の心構えというような意識面ではなく、たとえ退職してもしなくても、もしもの時に備えて会社員のうちから自分の条件について知っておけば、知らなくて後になって損をしていたということを防ぐことができます。

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雇用保険と失業保険給付金やその期間について自分の場合を知っておく

PCとスマホで検索

どのような理由にせよ、会社員が会社を退職した場合には、そのあと日数を置かずに別の会社に入社するのでなければ、所轄のハローワークに行って手続きすることになります。

行かなくても罰せられませんが、当然ながら、もらえるべき失業保険給付金(失業手当)やその他の給付金が一切もらえなくなってしまいます。

また、行くのが遅くなればなるほど、認定日も遅くなり、給付金をもらえる日も遅くなるのですから、とにかく、退職して必要書類が揃ったらすぐに自分の住居地の管轄のハローワークに行く、と知っておきましょう。

あなたの給付日数・給付金額などのいろいろな条件はハローワークでの初回説明会できちんと書類や説明を受けますから、詳細まで覚えておかなければならないことはありません。

しかし、自分の退職前に、現在の自分はどういう条件に該当するのかを知っておくと、後々なにかと有利になりますし、何より自分自身が安心できます。

インターネットにも詳しく載っていますので、自分がどの条件に当てはまるか、年齢や勤務年数などで確認しておくことが大切です。

一日にもらえる給付金額(基本手当日額)や給付日数、待期期間をまずは自分がどれに当てはまるかを確認しておきましょう。

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退職する時期と退職理由が、自分に該当できそうなものを洗い出しておく

書類を見てノートに書く女性

①特定受給資格者

会社の倒産やリストラといった場合は「会社都合」となりますが、労働者にとって再就職の準備もできず突然のことなので、失業した被保険者に手厚い制度となっています。

会社都合での離職者を「特定受給資格者」といい、雇用保険受給資格証の「離職理由」によって、給付日数が多い、3か月の給付制限期間がない、そのほか国民健康保険の減免措置を受けられるなどのメリットが準備されています。

②一般受給資格者

では自己都合による退職はというと、残念ながら、言葉の通り、働く側の自己都合なのですから、7日間の待期期間後からさらに3カ月の給付制限があります。

また、待期満了後から給付制限経過後の最初の認定日の前日までに3回以上の求職活動が必要ですから、ただ3か月待っていればよいというわけではありません。

給付制限期間も含め無収入の期間があっても国民年金などの社会保険料の義務はありますので、それらの準備をしておかないといけません。

自己都合による離職者を「一般受給資格者」といいます。

③特定理由受給資格者

ここからがとても重要なことなのですが、自分から「辞めます」と退職願を出して「自己都合退職」したとしても、「会社都合」としてハローワークで処理してもらえるケースがあります。

そのような認定を受けた離職者を「特定理由離職者」といい、「特定受給資格者」と同様に3か月間の給付制限を待つことなく、失業給付金が受けられる資格を得られます。

退職後であっても、その離職理由が「会社都合」と認定されれば、3か月延びることなく失業給付金をもらえる日数となることができるので、自分が退職前から会社都合にできる理由を準備しておくことが重要になってくるというわけです。#

退職理由

種類離職理由給付日数給付制限
特定受給資格者会社都合(倒産・解雇など)90日~330日7日(待期)
特定理由離職者1有期雇用で本人の更新希望が叶わなかった90日~330日7日(待期)
特定理由離職者2正当な理由(病気・ケガ・妊娠・看病など)90日~150日7日(待期)
一般受給資格者自己都合・懲戒解雇など90日~150日7日(待期)+3カ月
定年退職者定年退職90日~150日7日(待期)
高年齢被保険者65歳以上で退職(高年齢求職者給付金)30日又は50日5日(又は+3カ月)
退職理由による種類  ※理由は一例です

会社を自己都合で退職、ハローワークに会社都合と認定してもらえるものにはどんなケースがあるのか

会社を自己都合で退職しても、ハローワークでの処理で会社都合となる「特定理由離職者」に認定されるケースには、以下のようなケースがあります。

  1. 残業時間
  2. 給料の減額
  3. 業務内容の変更
  4. 嫌がらせ、セクハラ
  5. 勤務地の変更
  6. 業務契約の未更新
  7. 社の不正や違反
  8. 給料の未払い
  9. 休職命令

ちなみに、ハローワークでは会社都合として処理できるものであっても、会社で「自己都合での退職」として処理された場合、退職金が減額される事があります。

悩む男性

ハローワークに「会社都合」「特定理由」と認定してもらうためには

前項で挙げたケースに該当すれば、会社都合と認めてもらえるのですが、これらには大きなハードルがあります。

というのは、自分の退職理由がこのケースに当てはまると、はっきりと証明できる書類や証拠が必要になるからです。

だからこそ、退職前にそれらが証明できる証拠を、書類や音声、データなどで記録しておかないといけないのです。

退職する数か月前から勤務している会社と闘わなければならず、さらに退職後にはハローワークに認定してもらう労力が必要です。

①残業時間:毎月45時間以上、辞める前の3ヶ月続いている

残業時間が分かる書類を用意する必要があります。

給与明細書の場合、実働時間と残業時間が分かるよう記載されてあれば問題ありませんが、全労働時間数だけでは残業時間が判別できません。

自分で退職前に、労働条件通知書などの契約書や、タイムカード、勤務記録表などのコピーを取っておきましょう。

できれば会社の認印などのある書類のコピーが好ましいですが、それでなくても、日々の勤務時間が記録されていれば必ずその書類コピーを用意しておくことが重要です。

②給料が減額された

今までの給料より85%以下に減額されたとき、または業務時間の短縮で85%にまで給与が減ったとき。

コロナ自粛などで勤務時間を減らされたり、給料の減額をされたりした人も多いでしょう。

これらに該当する方はその証明ができるよう、毎月の給与明細や出勤後などを必ず保管しておきましょう。

スケジュール帳

③業務内容の変更

技術職での契約で入社したのに本人の希望に反して営業職にさせられた、事務職なのに販売職に変更された、など、業務内容が契約時のものから極端に変更されたケースが該当します。

入社時に交わす「労働条件通知書」「辞令」などで業務の範囲が明記された書類など、証拠となるものを用意しておく必要があります。

④嫌がらせ(パワハラ)、セクハラ

嫌がらせとは、上司からの個人的な冷遇や人格否定の連続、脅迫、同僚から自分だけ排除された、いじめを受けたなどです。
パワハラ・セクハラは言うまでもなく法律でも訴えられる時代です。
ただ、それを証明することがかなり大変で、はっきりと証明できるものが必要です。

会社側がそのような汚点が明るみに出るのを防ごうと会社ぐるみで隠ぺいしようとする場合も多いので、ある程度の期間、そのような嫌がらせやパワハラがわかるメール内容や言われた内容などを細かく記録し、音声を録音するなど第三者に証明できる証拠を集める必要があります。

パワハラ・セクハラを受けながらその証拠を溜めていくのは辛い作業ですが、必ず証拠を確保しましょう。

⑤勤務地の変更

オフィスの移転や統合などで、通勤に2時間以上かかる場所への移転や、本人の承諾無しに不当な転勤命令を受けた場合が該当します。

⑥業務契約の未更新

契約社員などの契約業務で1回以上契約を更新し3年以上働いたあとに、契約更新が行われなかった場合が該当します。

⑦会社の不正や違反がある場合

会社の業務が法令に違反する場合。

就業状況が理由で病気や心身の障害を引き起こし離職した場合も該当します。

⑧給料の未払い

月給の3分の1以上の金額が2ヶ月支払われなかった場合。

⑨休職命令

会社の都合で休職を命じられたとき。

現在は、とくにコロナ自粛でこのようなケースが増えています。自宅待機と言われて待機していたら給与が支払われず休職扱いにされていた、などという場合も該当します。

⑩特定理由|親族の介護のため、または親の死亡など家庭事情の急変など

さらに、会社都合ではなくても「特定理由離職者」として給付制限が免除される特殊なケースがあります。会社都合退職と同様に、給付日数が長くなったり、国民健康保険料が軽減される場合もあります。

家族の介護を30日以上おこなっていた、とか、親の死亡などで家庭事情が変わって仕事を継続できなくなって退職した、などというケースです。

離職理由まとめ

上記の事由が複数重なっている場合もあります。

ですので、退職したいと思ったならすぐに、自分の日々の仕事内容、勤務時間、上司や同僚に言われた内容など、健康状態など、気になるものはとにかく残しておく、記録する、をしっかり行なっておいてください。

勤務先の就業規則は、社員ならだれでも自由に閲覧できるものです。

退職前に、勤務先の就業規則にも目を通し、必要箇所はコピーを取っておくことも重要です。

また入社時や契約更新時に交わした書類は、絶対に保管しておきましょう。

なにがあなたを助けてくれるかは退職時や退職後にならないとわかりにくいものです。

ハローワークはあなたの味方

退職しようと思ったときに、失業保険について調べておく

退職しようと思ったなら、今まで説明したようなものを証拠として集めるだけでなく、インターネットなどから退職するのに必要な手続きや失業保険の給付条件について情報収集します。

知らないで退職してしまってから、たとえば「あと1カ月後に退職していたら、失業保険給付金をもらえる期間が30日間も多くなったのに」などということになってしまいます。

被保険者であった期間(通算で会社員として勤務した年数)や、あなたの実年齢、たとえば29歳11カ月と30歳で大きく条件が変わったりするからです。

ハローワークの担当者に相談する

相談する人

失業保険給付金(失業手当)は離職後にハローワークで所定の手続きをして認定されるともらうことができます。

この認定されるときに、どの離職理由に該当するかが決まるのです。

ハローワークの担当者は失業保険給付認定のため、多くの人たちの離職理由を見て判定しているプロです。

何より、被保険者、つまり失業してハローワークに申請に来たあなたの立場をよく理解しています。

なので、あなたが自己都合で退職したと思い込んで申請しても、会社都合に該当する事柄があったら、あなたの側に立って、会社都合の離職理由にしてくれます。

その意味でも、自分で勝手に「私は自己都合で退職したから会社都合にはならない」などと思い込んで何も話さないのはもったいないことです。

まずは、ハローワークへの申請時に相談してみることです。

そして、離職理由を明らかにするためにも、事前に記録した書類や勤務実績、家庭の状況がわかるものなどを集めておき、当日に持参しましょう。

可能な限り離職理由を「会社都合」「特定理由」にすること

ハローワークに相談するには、ハローワークを全面的に信頼することから始まります。

家庭環境や自身の健康状態についても、恥ずかしいからと隠すのではなく、大変な状況があるのであれば相談してみましょう。

どのような理由が離職理由として判定してもらえるかはわからないのです。

また、自分では判断できないことやわからないことがあれば、どんどん聞いてみることも大切です。

私も、かなり昔のことですが、ふつうに自己都合退職し、初めてハローワークへ行ったとき、残業時間が多かったからと「会社都合」の理由にしてもらえたので、1週間後からすぐに失業保険給付金をもらえました。

私がわかっていなくても、きちんと理由を説明してもらえ、良い条件になるよう教示してもらえました。

会社内のこと以外でも、親の介護、自分の病気、妊娠など、とにかく事実をきちんと伝えることが大切です。

あなたが正しい書類を準備してきちんと相談すれば、親身になって教えてくれます。

ハローワークはあなたの味方なのです。

よま

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