5年ぶりの水野敬也氏の『夢をかなえるゾウ』シリーズの最新本【4】が2020年7月に出ました。
『夢をかなえるゾウ』シリーズは【1】【2】【3】がすでに出ており、シリーズで400万部を突破する大人気の自己啓発本です。
シリーズすべての表紙には、へんてこなゾウのイラストが載っていますが、そのゾウが人を成功に導く神様で、名前を「ガネーシャ」と言います。
ガネーシャとはヒンズー教の神様です。
この本のガネーシャは神様なのに、甘いもの好きで自分に甘くてだらしなく、いわゆる神様のような態度は一切ありません。そして、なぜか関西弁をしゃべります。
すでに「夢ゾウ」シリーズのいずれか、または【1】から【3】までのすべてを読んでいる方ならお分かりでしょう。
今回の新作も、会話のやり取りのなかに、成功する(夢をかなえる)ための教えが入っているのは同じです。
これほどまでに「夢ゾウ」シリーズが大人気なのは、読みやすさと面白さのなかに、わかりやすく教えが盛り込まれているからでしょう。
そしてストーリーの中にほろっとくる箇所がいくつかあって、つい涙ぐんでしまったり、バカバカしくて面白くて声を出して笑えてしまう箇所も随所にあります。
私も、【1】を読んであまりに面白くて、そして泣けて【2】【3】と読み進めてしまいました。
どれも笑えて泣けて感動します。そして自分にも活かせることがたくさんあります。
今回、シリーズ待望の新作【4】が5年ぶりに出たのですから、皆さんの期待もマックスだと思います。
新作「夢をかなえるゾウ4」をこれから読もうと思っている方に、ネタばれすることなく、シリーズ全体のことを簡単に紹介します。
シリーズのどれを読めば良いのか、どの順に読んだらよいかわからないという方へのアドバイスになれば幸いです。
【夢をかなえるゾウ】超ベストセラー 夢をかなえるゾウ1・2・3
【夢をかなえるゾウ1】夢をなくした平凡なアラサー独身サラリーマンと成功神ガネーシャとのお話
『夢をかなえるゾウ1』は、平凡な独身サラリーマンの男性が主人公です。
都心に一人暮らし、毎日バタバタと仕事し、夜は同僚に誘われて飲みに行き、休みの日はゴロゴロしている、ごく普通の平凡な会社員です。
特別優秀ではないが悪くもない大学を出て、そこそこの会社に入ったものの、出世できるほどのスキルもなく努力も続かず、アラサーになってしまった。
成功とか金持ちになりたいとか、思わないわけではないけど、今さらどうしていいかわからず、毎日同じような忙しい日々の繰り返しに、夢すらなくしかけている独身男性。
今の日本の現状で見ても、ごくごく普通すぎる会社員男性という設定です。
ゾウの姿の神様ガネーシャが突然現れて彼の部屋に住み着き、日々、彼に成功するための実践を面白おかしく教えていくのがベースになっています。
いわゆる自己啓発本のように堅苦しくなく読め、このアラサー男性がどうなっていくのかな?とワクワクして読み進められます。
私はシリーズのなかで【1】を最初に読みました。
電車のなかで読んでいて、つい吹き出してしまったり、じわっと涙ぐんだりしました。
主人公である平凡なサラリーマンの彼は、読者が男女だれであれ、平凡な自分自身だと置き換えられますので感情移入もしやすいです。
ガネーシャに対しても、だんだん親しみと友情のような感情が沸いてきてしまいます。
【夢をかなえるゾウ2】脱サラした万年売れない芸人の男と貧乏神と成功神ガネーシャとのお話
『夢をかなえるゾウ2』は、脱サラして遅めながらも夢にチャレンジしている売れない芸人の男性が主人公です。
設定としては、【1】とは違い「すでに夢にチャレンジしている」「行動を起こした」人です。
年齢ははっきり書かれていませんが30代半ばになっているようです。
つまりこの【2】の主人公は、自分の夢に挑戦したが眼が出ないままで、挑戦したことが失敗だったのかと、自分には才能なんてなかったのかと、悩んでいたのです。
ゾウの姿の神様「ガネーシャ」の行動や話し方などは【1】と同じような感じですが、もう一人の重要人物「貧乏神」の幸子さんが登場します。
ほかにもたくさんの神様たちが出てくるのですが、神様の仲間たちという感じです。
「夢があって挑戦した。なのにうまくいかないまま」という人も、世の中には多いです。
芸能人になる、スポーツ選手、お店などの起業、資格への挑戦、転職・・・など、大人になってから、何かしら挑戦している人たちは大勢います。
「何も行動しないのはダメだ」「行動がすべて」「少しの勇気を持とう」などと自己啓発本、成功哲学本には必ず書かれていて、それを信じて勇気を出して行動を起こしたのです。
「なにもしないより良い」とは言われるものの、思い切って挑戦し努力しているのに、うまくいかない。
そういう状態の人たちの苦しい心情は、何もしないで悩む人たちより精神的に辛く感じるのはわかります。
なぜなら、行動したのに結果が出ないのは、「あなたにはその才能がないのですよ」と宣告されているように思えるからです。
【2】は、【1】と比較すると、具体的な成功するための行動の実践方法を教えるというより、成功していくための心の持ち方を教える部分が多かったかなと、私は感じました。
【1】を読んでこその【2】という感じです。
【夢をかなえるゾウ3】結婚願望があるのに結婚できない30代のOL女性とブラックガネーシャ(稲荷)と成功神ガネーシャとのお話
『夢をかなえるゾウ3』の主人公は、シリーズ初の女性になっています。
もうあまり若くない、見た目も能力もごくごくふつうの会社員女性で、結婚したかったのに、少し遅れてしまって焦っています。
とくにバリバリ仕事ができる女性ではなく、美人でもないので、若いうちに結婚したかったのにできないまま年を取っていくのが不安、ということで、おそらく30代の設定だと思われます。
どのシリーズでも、主人公ははっきりと何歳とは書かれていません。
ですが主人公たちのバックグランドを描かれると、だいたいこれくらいの年代で、これくらいの立場(収入)だなと、読者がわかりやすく想像できます。
それゆえに、読者自身が主人公の境遇に自分を重ねやすい、だから主人公の感情が自分の心の中のように感じられるのがこのシリーズの素晴らしさです。
私自身は自分が女性なので、この【3】がいちばん感情移入できました。
ネタバレしてしまうため書けませんが、主人公の女性が一方的に好きだった男性との関係では、読んでいて自分と重なって涙があふれてしまいました。
この【3】では、商売することが出てくるのですが、その商売の仕方、お客様の感じ方、どのように客を集めるか、どうしたら顧客になってもらえるのかなどが実践的に学べます。
マーケティングを学ぶ観点からもとても為になります。
「夢をかなえるゾウ3」は私たち読者にとって、いちばん行動しやすく実践しやすい教えなのではないかと思いました。
【夢をかなえるゾウ】シリーズのおすすめは?
『夢をかなえるゾウ』シリーズは、どれも笑って泣けて為になる、ストーリー仕立てでわかりやすい自己啓発本です。
いずれの本もラストは感動的で、啓発本としてではなくて物語としても「読んでよかったな」と幸せに感じられます。
たくさんの「ガネーシャの教え」があるので、もちろん全部を覚えられませんが、巻末にその出典が記載されていて、あとから探しやすくなっているのも良いです。
どれがおすすめかと問われると、どれも面白くて感動できるので、甲乙つけがたいです。
読み進めていくのにわかりやすいのは、やはり【1】から順に【2】【3】と読むのが良いでしょう。
実は私は【1】→【3】→【2】の順で読みました。
なので、流れの中で、神様たちの設定でほんの少しわかりにくいことがありました。
それぞれの3つの本は、その本だけの完結型ですので、それほど違和感を感じたりわかりづらいものではありませんので、1から順にすべて読まないと意味がわかないのではと心配する必要はまったくありません。
主人公の設定で、あなたが興味をひかれたものを読めば良いです。
たとえばあなたが女性なら【3】を、なにかに挑戦しかけていて悩んでいるのなら【2】を。
まだ若い20代~30代前半の人なら男女問わず【1】が、主人公の設定に近いでしょう。
主人公の性別とあなたの性別が違っていても、年代がかなり違っていても、苦になることはなく違和感もなく、自分に重ね合わせることができます。
どれを選んでも、あなたが読んでいるそばから、今の自分からでも感じることがあり、真似できることがあり、今からでも頑張ろうと思えることがあります。
【夢をかなえるゾウ】の主人公はあなたです
『夢ゾウ』シリーズと略して呼ばれるほどの人気シリーズ『夢をかなえるゾウ』の主人公たちは、皆、いわゆる平凡な人たちです。
普通とか平凡とか一般的な、という言葉は、実は曖昧です。
いったい何が平凡で、では何が特別な人とか成功者なのでしょうか。
この『夢ゾウ』シリーズの主人公たちは、最後にどのようになったのでしょうか。
「夢をかなえる」「成功する」「やりたいことをやって生きる」「お金持ちになる」などと言いますが、どこまでいけば「成功者」や「お金持ち」になったというのでしょうか?
このシリーズのいずれかの本を読んだ方なら、理解されていると思います。
成功とは、億万長者になることでも、日本中に名前の知れ渡る有名人になることでもないということを。
芸能界やスポーツ界のビッグスターや著名人、政治家や大実業家、億万長者のような、だれが見てもはっきりと「特別な人」「成功者」とわかる人は確かに存在します。
もちろんそのような人物になれるなら、それはとても素晴らしいことです。
ですが、この主人公たちは、平凡な会社員や売れない芸人から、その後に特別な有名人や億万長者や大実業家になったわけではありませんが、確実に幸せになり、心が豊かになり、自信に満ち溢れて充実した生活を手に入れています。
それが「夢をかなえた」「成功して充足した人生」を送っているということです。
読んだ人ならわかると思います。
この主人公たちは、未来のあなたたちであるということが。
未来の成功者になるのは、このシリーズを読んで、「なるほどこれなら自分もできる」と思い、小さくてもひとつずつ実践しながら心を変えたあなた自身であると思います。
【夢をかなえるゾウ4】家族を大切に思っている会社員が余命3か月と宣告されて
「夢をかなえる」とは死ぬときに後悔しない人生を生きること
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この新作は、過去のシリーズより重い「死」がテーマとなっています。
主人公の男性はすでに結婚して家族を持っていて、まだ小さな子どもがいるのに、余命3か月と宣告されてしまうという設定です。
今までのシリーズと大きく異なるのは、「何者かになりたい」とか「今の平凡で退屈で夢のない現状を変えたい」ではないというところ。
むしろその逆で、今の平凡でありながらも家族に囲まれて幸せな「このままの日常がずっと続くこと」が夢でした。
つまり『夢をかなえる』というこのシリーズの集大成ともいえるのではないでしょうか?
人は必ずいつか死を迎えます。
そのときがいつであっても、その死の間際に、自分の生きてきた人生に悔いを残さないこと。
心から、自分の人生に満足ができること。
まったく順風満帆でなにも悩みがなかったなんていう人生はありません。
いろいろな苦労や困難な時を生きることもあります。
でも苦労があったら、困難を経験したら、それは不幸な人生だったのでしょうか?
自分の長い人生の終わりにさしかかったとき、「あれをしたかった」「こうしておけばよかった」「あんなふうに生きたかった」と後悔ばかりするのは、あまりにも悲しいことです。
「夢をかなえる」とは、人生の最後のときに、後悔しない人生を生きるという事なのではないかと、教えてくれる本です。
『夢をかなえるゾウ4』ぜひ多くの人に手に取っていただきたいと思いました。
最後に、私の感想として、ひとつの想いを述べさせていただきたいと思います。
「夢をかなえる」「成功する」「幸せになる」「豊かになる」ために、多くの自己啓発本を読み実践し日々努力している方へ、そしてたまに挫折したりうまくいかないことに直面して自己卑下しがちな方へ、伝えたいのです。
「成功者と言われる何者かになる」ことが成功で幸せになれるのではありません。
成功したい、豊かになりたいと思うその純粋な気持ちを常に前向きに持ち続け、今の平凡な自分であっても豊かである自分をイメージできていること、「現状」に感謝できている人であれば、すでに成功者であるということです。
よく言われることですが「have」(何かを持つこと)で幸せになれる「be」のではありません。
「be」(幸せな心の状態でいること)であることで幸せ者なのであり、だからさらにそのように行動する「do」と、豊かさや自分の望んだ暮らしを持つ「have」ことができるのです。
ガネーシャは一貫して、それを根底にして教えてくれています。
そしてその日々の生き方が、後悔しない人生につながるのだと思いました。
私も、後悔しない人生を生き抜きたいと思います。
よま