縁起物は本当に「縁起物」なのか?

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招き猫 お金・豊かさ

縁起物|黒い馬の置物

ロイヤルドルトン製 ブラックホース「カンカラ」気品のある雄姿

最近、ある買い物をした。

それは私にとって初めてのアンティークショップでの買い物だった。

私が仕事をしているビル内の、毎日通っているフロアにある「アンティークショップ」には、高級な食器や花瓶、アンティークの指輪やネックレスなどが飾ってあった。

イギリスなどのヨーロッパが隆盛を極めていたころ、19世紀から20世紀初頭の品が多く、今から100年以上昔の気品ある品物ばかりで、美しく豪奢でありながら、ただ派手ではない落ち着いた趣きがある品々は、通りがかりに眺めているだけでも、心が貴婦人になったかのようだ。

アンティークの器や宝石に縁のない生活をしている普通の会社員の私にとって、ショーウィンドウから見るそれらの値札は、0が一つ、なかには0が二けた間違っているのではないかと感じるほどの高値が付けられているものばかりで、ふだん通っていて眺めながらも、綺麗だけど買うことはないなぁと思っていたものだった。

ある日、サマーセールということで、そのアンティークショップの店頭のワゴンに、いくつかの品々が赤札が付けられて並べられていた。

赤札が付いていても、1枚のお皿が5万円とか、小さな小さな小物入れが2万円とか、私にとっては、なぜそれが5万円もするのか、からきしわからなかった。

そんな中に、デンと置かれた、高さのある置物がひとつあった。

黒い馬の置物で、その名を『カンカラ』(英名 Cancara)と言うブラックホースだった。

毎日その店の前を通る私に、黒い馬はじっと私を見つめていて何か言いたそうに思えた。

連れて帰ってほしいと言わんばかりの透き通るようなまっすぐな視線。

「いやいや、気のせいだ」

「ただの馬の置物だってば」

「馬が見つめてくるなんて、何を思っているんだ、私は」

たしかにこの黒い馬は、それはそれは上品な雄姿で、美しいバランスで前足を上げて立ち上がる格好は見事だったが、ただの馬の置物ではないか。

毎日何度か通るため、そのたびに馬の目と私の目が合ってしまう。

『カンカラ』は私に「早くつれて帰って」とすがってくるようだった。

つい、店頭のその黒い馬の置物の体を撫でてしまった。

馬の高さは、置き台を含めて40センチメートルもあるので、置物としてはけっこう大きい代物だ。

だから、手で馬の体を撫でたり顔から首のあたりをヨシヨシとしてあげると、置物というより、小さな生き物のように感じられてしまう。

こんなことを数日続けてしまっていた。

値札を見ると、たしかに定価よりは安くなっていたし、1枚5万円のお皿に比べれば安い。

だが、しかし、私の1人暮らしの狭いワンルームの部屋のどこに飾ると言うのか。

そもそも、私の部屋は、こんなアンティークの置物が似合うような洒落たイメージになんてなっていないのだ。

この馬の置物は、何かの役に立つ家電製品でもないし、流行の洋服でもない。なんの役にも立たない置物だ。

何度も否定するのに、馬の目と合うたびに、吸い寄せられるように店頭の馬の前まで行って、顔をなでたり身体をなでたりしてしまっている私がいた。

これは運命の出会いかもしれない、などと妄想まで感じてしまった。

そしてある日、とうとう私は店の奥にいたショップの店員の方に話しかけてしまった。

そこからはもう、後にはひけなくなってしまった。

せいぜい私ができたのは、付いていた値札の価格から消費税分だけ値引きしてもらったことくらいだ。

その日の夜、私はバカでかい紙袋に入れられた「黒い馬の箱」を持ち抱えながら、帰りの通勤電車に乗っていた。

馬は縁起が良い生き物

購入した黒い馬の置物 ブラックホース「カンカラ」目がかわいい

ショートストーリー仕立てで馬の置物を購入したいきさつを書きました。

なぜか私は、初めてアンティークショップでロイヤルドルトン製「ブラックホース」という馬の置物を買ってしまったのでした。

連れ帰った黒いお馬さんを、今までほかの飾り物を飾ってあった棚の上を整理して、デンと置きました。

この黒い馬の前足には、馬の足を守るための馬蹄もちゃんと金色に付いていました。

馬は、西洋でも日本でも昔から神聖なもの、縁起が良いものとされています。

「馬」を左にひっくりかえした「左馬」の置物は日本では古くからの縁起物ですし、馬は古来「神馬(しんめ)」として奉納されており、その代わりとして「絵馬」が出来たと言われているほど、縁起の良いものです。

U字型の馬蹄はアクセサリーやストラップなどに使われていて、Uの字の形も幸運のマークとして人気です。

なので、私は、連れ帰ってきた黒い馬『カンカラ』も、私に幸運をもたらしてくれると信じることにしました。

というよりも、自分にとっては高い買い物をしたことを正当化したくて、インターネットでいろいろと馬の縁起について調べて、「うん、これは縁起が良いものなのだ」と納得させたわけです。

「縁起物」は縁起が良い

可愛いいお馬さんが我が家に来てから3週間が経ちました。

「黒い馬の置物」は私にとって、かわいいお馬さんになりました。

1人暮らしの賃貸ではペットも飼えないので、帰ってきて「ただいま」を言うのにちょうど良い相手なのです。

毎日、「ただいま~」と馬の顔や体を撫でていると、愛着が増してきます。

このお馬さんが私に幸運をもたらしてくれるのだ、と思いながら感謝の気持ちでなでなでしていると、心は落ち着くし、本当に良いことがあるように思えてくるものです。

そんな日々を送りながら、ふと気がついたことがあります。

「縁起物は、やはり縁起が良いものだ」ということです。

なぜなら、私が「このお馬さんが幸運をたくさん連れてきてくれる」と信じて連れて帰ってきて、そう思っていると不思議とそう感じることが増えたからです。

日々のごく小さな良いことがあった時や、うまくいかないかもと思っていたことがわりとすんなりいったりしたとき、このお馬さんがそうしてくれたんだと、つい思ってしまうわけです。

ただのこじつけかもしれませんが、悪くとらえるよりよっぽど精神的に良いものです。

私も先日、仕事上で、やりたかった仕事でたぶんうまくいくと思っていたことが断られてボツになったということがありました。

ECサイトでの売買に関連する仕事で、やりがいがあるように思っていましたが、一度受けたら終わりがなかなかわからない長い仕事になりそうな業務でした。

そのとき私の心の中では、「ここと縁がなかったのは、ほかの仕事が支障なく進められるからこれで良かったんだろう」と、落ち込むことなくすぐに前向きに思えたのです。

するとその日、直後にメールが来て、別のところから違う仕事の依頼が入りました。それは私の好きな「ライティング」の仕事でした。

どちらの仕事が良い悪い、ではなく、すぐにそのように切り替えられる頭になれていたことで、気分が良い状態のままでいられました。

そしてすぐに別の仕事が入ったことで、断られたことに対して落ち込んだり悩んだりする時間もありませんでした。

鰯(いわし)の頭も信心から

招き猫

「鰯の頭も信心から」ということわざがあります。

「どんなに価値のないつまらないものであっても、信じる人にとっては、ありがたく価値のあるものとなる」という意味のことわざです。

つまらないものでも、信仰の対象となれば有り難いものと思われるようになるというたとえで、ときに信じる人を皮肉ったり揶揄するときに使われたりもします。

ですが、このことわざはある意味、人間の心理の本質だと思いますし、信じることの重要さを表しているとも言えます。

人々が「大安」の日に店舗の開店や結婚式を挙げるとか、「友引」に葬式をしない、などの縁起にこだわったり、店舗に「招き猫」を置いたり「お札」を貼ったりするのも、すべて縁起を気にしているからです。

スポーツ選手が、試合前に必ず決まったルーティンを必ず行うとか、右足からソックスを履く、だとかのジンクスとも言われる行為も、ただの迷信でもなく意味のないことではないと思います。

ルーティンで有名なイチローさんとかラグビーの五郎丸さん、フィギュアスケートの羽生選手など、必ず行う行動、しぐさは有名です。

それは、私たち一般人が生活の中で習慣づけている行動や考え方などもルーティンの一種といえます。

考え方や行動を無意識に習慣化することが重要なのでしょう。

ならば、縁起物を「縁起が良い」と決めて信じ込むことは、決してバカバカしいことではありません。

縁起物を置いたから縁起が良く幸運なのだ、と信じる気持ちを持ち続けるからこそ前向きでいられるということは、ただの「神頼み」や「迷信依存」とは違います。

部屋に飾った「縁起物」や、持ち歩く「幸運のストラップ」が、自分に絶対の自信をつけるときのちょっとした小道具であって良いと思います。

大切な人からもらった手紙をカバンに入れていたり、親からもらったお守りをユニフォームに縫い付けていて良いのです。

これを持っているから安心とばかりに妄信したり依存したりしていてはいけませんが「縁起物は本当に縁起がいい」「これはラッキーアイテムだ」と思うおおらかな前向きさは、持っているほうがいつも幸せな気分でいられます。

自分の背中を押してくれる「縁起物」、ひとつふたつはあっても良いものです。

モノだけでなく日々の行動でも、自分は毎日このルーティンをすることで、平常心でいられる、自信を持てる、落ち着いていられる、ということを自分なりに習慣化すれば、実際にうまくいくようになるものですから。

よま

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